デトロイト・メタル・シティ

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まさか人情話で泣かされるとは思わなかった。前評判とか聞いた限りでも「成功した馬鹿映画」というものが大半だったから油断してた。まあ、原作の完全準拠というわけではないので、「純粋に原作の馬鹿話の実写を見てみたい」という人にとってはちょいと肩すかしになってしまうとは思う(そう言う人は、アニメ版をお勧めということなんだろう)。とはいえ、過去の日本映画の中で、いかにもマンガチックな作品の実写化をここまで見事に組み上げた映画は非常に珍しいんじゃないだろうか。実際、クラウザーさんの演技は見事としか言いようがなかったし、対存在としての根岸君のキモさも見事だった。正確に言えば、原作の馬鹿ネタも一部は残ってはいた。まあ、選出されたネタはどれも(比較的)ソフトな物ばかりだったけど。映画としては、「人の心に響く音楽」というテーマを主眼に置いたのは明確であり、作品を最後まで見た限り、その選択は正解だったと思う。出演人の豪華さはいまさら言及する必要は無いと思う・・・けど、初見だと「あれ?どこかに出ていたっけ?」と思うこともある。特にライブシーンは背景が暗いからよく分からんのよね。あと、宮崎美子は役者として良い年輪を重ねていると本当に思う。
とはいえ不満もある。その中で最大のものは、コンサートシーンでは「声がまったく前に出てこない」ということ。実際のライブ感を表現したかったのかもしれないけど、音楽が聞こえなければ今ひとつ乗り切れなかった。これは音楽映画として見た場合はとても残念。そしてラストの「原作から完全に切り離された瞬間」のあの台詞。ギャグとしてはありっちゃあありなんだろうけど、「ミュージシャンのライブの最中に、私情を理由にあーゆーことする」のはどーかと。立場的にもちょっとありえん。