コミックマーケット創世記

コミックマーケット創世記 (朝日新書)

コミックマーケット創世記 (朝日新書)

一般参加オンリーとはいえ、かなりのこと通っているのでお礼の気持ちも兼ねて買ってみた。内容は初代コミケ代表の方による「創世記の形式を借りた回想録」。正直、回顧録以外の何物でもないんだけど、オタクの「世代間闘争」(現在のオタクと古いオタクによる非難の応酬)の一因をかいま見ることが出来る資料と考えると色々興味深いと思う。岡田斗司夫が「オタクは死んだ」と宣言していたけど、たぶん彼も作者に近い人であろうと思う。
読んでみれば分かるけど、「学生運動」「大学闘争」における方法論や思考形態を、そのまま文系マンガファンジン社会に持ち込んだようなイメージなんだよな。それはたぶん今のオタク(消費と囲い込みを中心に動く世代)にとっては、おそらく極めて奇異なものに映ると思う。むしろ「何マジになってんの、こいつら」という感想しか出てこないだろう。まあ、時代的にも「マンガが社会に認知されているかどうか」という大きな違いもあるだろうけど。難にせよ、コミケの歴史以上にオタクの「世代間の断絶」を見たいと思うのであれば、けっこう最適な本だと思う。