ミスミソウ(3)
- 作者: 押切蓮介
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2009/06/17
- メディア: コミック
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作中で描かれている人物の行為はひたすら残虐だ。しかし各人物の気持ちを考えていくと、その行為は、際限のない孤独と悲しみによる思考の自己閉塞の先にあったものでしかないことに気がつく。あれは単なる結果でしかないのだ。誰もが生きることに真面目すぎた。主人公達も苛める側も。それを考えるとただひたすらに悲しくなる*1。作家とスタッフは、よくここまで作品を作り上げたと思う。大変素晴らしい出来としか言いようがない。
そして思い出したことがある。ずいぶん昔に、赤塚不二夫や鴨川つばめ等のギャグ畑での大家や実力派をテーマにした評論本を読んだ。そこで作家や評論家が繰り返し述べていたことがある。
「ギャグは世の中をじっくりと見て、問題やズレについて散々に考え悩む必要がある。そしてそこで見えた本質を、あえてギャグ(笑い)として昇華させる。だから、楽しいと同時にとても苦しいし、ギャグ作家として長続きすることがとても難しい。」
作者たる押切蓮介もその域に達したのかもしれない。
*1:虐めを受けた経験があった人なら、さらに強く思うだろう。