その後の青少年健全育成条例関連

今月頭からこの問題を集中的に追い続けてきたことを振り返ったとき、想像以上に体力と精神力を削っていたとを自覚している。ブログには「休みましょう」とか偉そうなことを言っておいて、結局自分が一番疲れていたという事実(苦笑)。その反動で、思わず水戸のコミSPを眺めに行ったり。いやはや、長い間反対活動されている方はたいしたもんだと思う。そして、そう言う意味でもやっぱり業界/同人団体としても政治団体ってのは必要悪として認識しないとだめなんだろうな、とも。

  • さて都条例。

今月末が会期末で、そこで(自公が緊急動議で裏切らなければ)継続審議が決定される見込み…。ということを漠然と思いながらいくつかサイトを見て回ったところ、「議員への陳情は、会期中じゃないと意味がありませんよ」という記載をいくつか発見。それ以降は、純粋に都職員(あの9割の反対意見は葬り去った差別意識が蔓延しているあの委員会のことか!?)の仕事になってしまうらしい。…いかん、もう少し気力を振り絞ってメールなり手紙描かないと駄目だ。あと、陳情や活動について、カマヤンさんの所に良いアドバイス記事があったので拝見する。
都議会議員秘書からのアドバイス - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記
こう言うのをみていると、やっぱり若手の議員や秘書さんはこちらよりでいてくれているのかな、と思う。ただ看板があまりに酷いので歩み寄りにくい、と。まあ、この辺りはマスコミと官僚のミスリード戦略でもあるんだろうけどね。

言論表現の自由とは別モノ: 猪瀬直樹Blog
まず今の彼の立場が「東京都副知事」である点に注意(けっこう忘れがち)。都知事の補佐であるから反対意見が出るはずがないことに注意しておくこと。とはいえ、そのような立場の人間ですら、この件にはまったく冷静に判断できないということがよく分かる一例。
「自分も含めた大多数が『拒否反応を示す』から、規制(事実上の発禁処分)してよい」という理屈は、犯罪とは縁もゆかりもない一市民を「犯罪予備軍であると公言」してしまっていることと同義。これは、この改正案で懸念されている点の一つである「冤罪」の一面を映し出していると思う*1。ブログ中でも、感情的な拒否反応&嫌悪のみを原因としてダイレクトに犯罪者という存在とダブらせ、それゆえに自由を剥奪しても良いと断言している。そりゃ、この手の創作物を見て気持ちの悪い思いをする人も少なくないだろう。が、その”気持ちだけ”を最大の理由として規制…いやこの場合は「焚書」を簡単に肯定できる状況というのは、今回の件に限らずあらゆるシーンにも代用のきく「便利な魔法の言葉」であり「誰でも使える劇薬」でもある。かつてに宮崎事件が発生したときの「オタクは全員犯罪者」というレッテル貼り、有害図書論争で、自主規制の名の下で「書店から多くの雑誌やマンガが物理的に消えて無くなった」というかつての事件。その意識は、東京都副知事の立場の人物の言動を見ても、未だ平然と生き残っていることが判る。
さらに彼は翌日のエントリにて、日本の漫画を例に取りフランス人に「コレは酷い」と言わせているのだが、そのフランスの強姦発生率は「1000人当たり0.139442%」で世界第15位。日本は「0.017737%」で世界54位である。逆の結果が出ている統計であれば納得もいったのかもしれないが…猪瀬氏は日本をそんな犯罪大国にしたいのだろうか。
ともあれ、彼のブログやそのコメントを見ても、犯罪者ではなく、犯罪予備軍でもなく、科学的にも犯罪誘因説が否定され、この手のメディアが存在しない海外において「日本よりも圧倒的に犯罪発生率が高い」ことへの説明もまったくされていないにもかかわらず、「自分が嫌い」「マイノリティーゆえに否定しても正義で居られる」というだけで、社会と法によって権利を奪うことに躊躇しない人が多いという事実。
「より厳しくゾーニングまたは成人指定をするよう、出版各社に要請する」ならまだ理解できるが、この論調はシーシェパードや中国と何も変わらない。

*1:コレは人権擁護法案にも同様のことが言える。