英国メイドの世界

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AMAZON登録始まるも、予約はまだです - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん
同人時代から非常に読み応えのあるメイド研究本(正確にはヴィクトリア朝時代を中心とした使用人文化・社会の研究本)を出されてきた久我さんが、ついにその集大成となる本を発売することになったのでご紹介。
いわゆる「萌え」や「メイドカフェ」文化のメイドではなく、歴史上存在した職業としてメイド・執事というものにスポットを当てて、当時の文化や社会的背景をふまえながら研究された良書です。作者自身が海外の研究本やら再現ドラマ等もしっかりと研究しただけでなく、その活動が認められ関連学会への参加も認められたと言うだけあり、その内容は期待できます。しかもこの本は学術専門の出版会社ではなく、「化物語」などを出版している講談社BOXからのリリースです。つまり、講談社側でもその内容を認めたと言うことです。
漫画やゲームやコスプレや喫茶店でメイドさんに興味を持ち、さらに「本当のメイドさんの姿」を知りたいと思うなら、この本はとても良い入門書になるはずです。同人活動の中で継続してリリースされ支持も増え、ご自身の売り込みでついには商業出版の学術書として形となったという事実こそが、その証拠です。今回はご自身の研究成果のみならず、プロの研究家の方々の視点や校正が入っているとも言いますので、日本でも例を見ない「メイド研究本」の集大成になるのではないでしょうか。また、「かつてほぼ24時間大車輪のように働き通したプロの職業人」として生き抜いたメイドや執事の生き様は現代の日本サラリーマンにも通じるところが多くあります。そういうビジネス書の一面もあることはご紹介しておきます。
流石にお値段は安くはないですし、町の本屋に並ぶほどにもならないとは思いますが、作者の一ファンとして、独りのメイドさん好きとして、興味がある方ならぜひ手にとって欲しい本です。