2009夏コミ戦利品〜その1

その2がいつ書くことができるのか(というか、そもそも書けるのか)わからないけど、こういうことは早めにやっておいたほうが良いし。

  • 「英国執事の流儀」(SPQR、久我真樹)

『英国メイドの世界』商業出版決定のお知らせ - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん
自分がメイド&執事という職業に関心があるのは…まあ、メイド服がすごい大好きだ、というものが第一義にあることは否定しないとして…彼らの「職業のプロ」としての生き方が大好きだ、というのがある。それも、あくまで裏方&縁の下の力持ち的存在であり、一部を除けば表舞台に出ることはまずありえない。だけど、そういうところで高いプロ意識と責任感を持って働く人々は格好よいと思うし、そんな彼らの身を包む服はプロゆえに洗練された戦闘服でもあるわけで、そういうものにも非常に惹かれている。
さて、毎回購入させていただいている英国のメイド&執事&貴族の暮らしを研究・まとめていらっしゃるサークルの最新刊をいつものように入手。今回の「執事本」については、以前よりブログで「現代社会人に通じるところが多い」と言及されていたのだが、実際に中を読んでいてそれを痛感する。意図せずとも、自分に照らし合わせているケースが数多あったのだから。
執事という職業にこだわらなくとも、いつの時代も自分の職業にどう向き合い、どうこなしてゆくのか、というのはサラリーマン(=ここでは、給与をもらって仕事をする人、という意味)にとって永久共通の課題なのだろう。もちろん、今回この本で紹介したエピソードや教訓の元になっているのは、久我さんご本人も言及されているように『使用人の世界での「成功者」』であり、それよりはるかに多い失敗&挫折&階級の低い使用人としてのコメントはない*1。なので、よくある「成功者が語るビジネスの極意」みたいな雰囲気も否定できないのだけれども、それでも実際に何らかの現場で何らかの責任を背負いながら仕事をしている現代のサラリーマンの視線でこの本を読めば、感じ取れる部分は多いと思う。
そして最後に。以前に刊行された分厚い『英国メイドの世界』が商業出版化されるとのこと。それもただの再録ではなく、出版までに全面的に大幅改稿されるとのことで、非常に楽しみだ。ちなみに、久我さんのブログエントリにて『現地では意外と驚かれなかったので』とあったけど、みんな驚いていると思いますよ。ただコミケの戦場では、「まずは買え!読むのは帰宅してから!」という方が多いから、”その場で”あのチラシを熟読される方はなかなか居なかっただけかと。あとあえて言えば、どことなく「一般書籍として流通しても不思議じゃないよなあ」と皆さんお考えになっていたせいもあると思う。

  • 「After the End 5」(Vermillion mode.、木村明広

DEGITA-ROUGE
かつての名作PCゲーム「エメラルドドラゴン」の絵師による非公式後日談、そのハスラムとファルナ編。独自解釈のエピソードとはいえ、個人的にはこのエンディングは支持したい。正確に言えば、ゲームをプレイした当時の自分なら憤慨していたろうけど、あれからチンケとはいえ10年以上人生を歩んできた人間としては、むしろこの終わり方のほうがすっきりするし納得もする。こういう言い方はファルナ自身不満かもしれないけど、この二人の関係性は夫婦というより同士・竹馬の友的な立場のほうがむしろ長続きすると思うし。また、木村さん自身が「今後もどうなるかわからない」的な発言で締められているのも、現実的な視線が見え隠れしていて腑に落ちやすい。
それにしても、相変わらず良い絵を描くなあ。基本的にソリッドな絵柄なのに、案外そういう印象が持ちにくいのが木村さんの絵が好きな理由だ。

  • 「砂漠の虎・後編」(FirstSpear、野上武志

野上武志WEBサイト【Firstspear.com】
ストライク・ウィッチーズ外伝として、同人で展開されている北アフリカ戦線シリーズの三冊目にして、「砂漠の虎」後編。史実では、米軍戦車部隊を少数のティーガー戦車が無双状態でなで斬りにして「虎伝説発祥の地」としてマニアには有名なシチュエーションだけど、今回は対ネウロイ…ということで、まあそんなことはどーでもよくて(苦笑)。正直言うと、盛り上がりという点では、第一作のハルファヤ峠のエピソードを越えるものではない。戦車戦にスポットが当たっているわけでもないし。でも、リベリオン軍&パットン親父の登場、かつリベリオン軍(=米軍)特有の戦い方の一面を見せた戦場描写、なによりメカ娘シリーズの「シャーマン戦車」をきっちり使ってきた点を見れば、とても批判をする内容じゃない。むしろ、ようやくスポットを当ててくれた、と思いたい…でも、ティーガー、もったいないなあ。できれば、今後もこのストウィチシリーズは続けてほしい。
ちなみに「戦国ウィッチーズ」というのも出ていた。これは、ウトウィチ世界での日本史(本能寺の変)にスポットを当てたエピソード。…というか同人と言いつつ、ほぼ公式だろこれ(苦笑)。年表設定だけの存在で、それ以上のことを言及したメディアはないし、今後も商業ベースで言及するとも思えない。以前に出版されたアニメ版ストウィチのファンブックも、アニメの内容のみに特化して、それ以上のことを書くつもりもないようだし。なので、ウトウィチ世界の舞台設定や、ミリタリ系に重点を置いたものを知りたい人は、野上さんや鈴木貴昭さんの同人を追いかけるしかないという現状。客層を考えればある意味正しいのかもしれないけど、やっぱりもったいないと思う。願わくば、現在製作中のストウィチ2では、この同人シリーズのエピソードのひとつでも映像化されることを期待したいけど(=メカ娘本家たる「戦車娘」にスポットが当たる)、難しいんだろうなあ。

  • 「湯に銭」(70年式悠久機関、袁遠沖人)

リンドガルス博物誌【袁藤沖人のHomepage】【70年式悠久機関】
いきなり西館に移動していて、三日目の購買計画に大混乱を引き起こした当事者サークル(苦笑)。正直、購入はあきらめていたんだけど、「オリジナル物語」「西館」というのが幸いしてか、昼前に到着しても列なしで余裕で購入できた。おまけに、袁遠さんご本人もいらっしゃってお話&サインもいただけてラッキーすぎた。
今回のメインは、銭湯の壁絵女性と主人公のM気味男性との(ちょっとオカルト的)エピソード・・・ということかな?本来のヒロインの出番が中途半端だったのが悲しい限りだけど(苦笑)。個人的には、銭湯の風呂場に壁絵が出ているシーンを俯瞰の形で見てみたかった。そうすれば、もっと主人公との関係性も楽しく読めたと思うし。

*1:いつか、そういう人々にスポットを当てたものも作成される予定らしいので、期待したい。