時をかける少女

時をかける少女

時をかける少女 オリジナル・サウンドトラック

時をかける少女 オリジナル・サウンドトラック

先日読了した「涼宮ハルヒの陰謀」に続くタイムトラベル物。時間軸に対する解釈は「一本軸上書き方」で同じスタンス。ただ、物語の作りが全く違っていて、こちらは非常に気持ちの良い内容だった。アニメや実写を問わず、終了直後にこれほど透明な気分になれる映画は本当に久しぶりといえる。そして主人公の少女の奔放さとまっすぐさにとても好感が持てた。人物配置もなかなかに憎いし、抜けるような青空と入道雲、そこにかぶる涼しく透明感のあるBGMは見事に作品にとけ込んでいた。物語も、くすぐったくなるくらいの恋愛模様〜タイムリープ能力を実感した後の楽しい乱発描写〜そして終盤に至る展開がまったく飽きさせなかった。おかげで、最後は自然と微笑みながら見ていたりする。「恋愛物は苦手」という方も一度は見ておいた方が吉。作品単体としての完成度もかなりのレベルに達しているから。
正直、「ゲド戦記」は定番の大量広告戦略で認識していたけど、こちらの作品はネット上で話題になるまでほとんど興味がなかった。そして上映館が極端に少ないながらも妙に評判がよい(それに相反するかのようなゲド戦記)のを耳にするに至り、「じゃあ1度は見ておかないとな」ということで、たまたま拡大公開される劇場が行ける距離にあったので見に行った次第。従ってそれなりの先入観があったことは否めない・・・けど、その出来は遙かに想像を超えていたのも事実。勿論、だからといって売上がゲドを越えることはありえないけど。この辺りは純粋に広告宣伝費と広告戦略の物量差でしょう。*1
本家?の映画「時をかける少女」や原作版は、過去に見たり読んだりした記憶はあるのだけれども極めて前のことのせいか「見た/読んだ」という事実以外は9割方忘れていた。そして映画を見終わった後に改めて原作版を読み返したくなっている(うまい本歌取りを見せられた感じだからなおさら)。当時と今の時代背景や若者文化もずいぶん変わっているけど、その違いを改めて確認してみたいからだ。その上でもう一度映画を見れば、またずいぶん違った印象を持てるはず。・・・それに、明らかに前作/原作を意識しているであろうカットや演出もあったし(前作うろ覚えであっても、この場面のカタルシスが良かった)。この映画は劇場の大スクリーンで見ないと画面の透明感は伝わってこないと思うし。良い作品を本当にありがとうございました。

*1:それに、クチコミや掲示板にすら雇われサクラが大量出没するようになっていて、メディアによる思想支配も行き過ぎると恐いなあと思ったり