君が衛生兵で歩兵が俺で

君が衛生兵で歩兵が俺で (スマッシュ文庫)

君が衛生兵で歩兵が俺で (スマッシュ文庫)

自衛隊ラノベかあ…と買ってみたら、中身は現代版二・二六事件でした(ネタバレ)というビックリ展開。長いことラノベやらジュニアノベル見てきたけど、ここまではっきりと右寄りを打ち出している内容にGOが出たこと自体がビックリだ。しかも、通常こういう物語なら主人公は正義側であって最後は勝利を掴むのが定番なのに、そのテンプレートを見事に崩している。が、テンプレート崩しが所謂「パターンの逆手法」に終わっているのではなく、昨今の第九条議論や自衛隊論、そして三島由紀夫事件もふまえた”写し”になっている。作者自身が現役予備自衛官とあるので、彼自身の思いが噴出してできた作品とも言えるのだろう。その部分は非常に強く感じる。
とはいえ、こういう作品がちゃんと本屋に並べられるようになったのは一つの変化か。まあその代わり、ちょっとした性関連の記述や書籍はどんどん焚書やら改変やらされているらしいから、バーターとも言えるのかもしれない。