大日本サムライガール(7)

大日本サムライガール 7 (星海社FICTIONS)

大日本サムライガール 7 (星海社FICTIONS)

1年前に購入したきり積んでいたのを一気読み(もう9巻まで出てるのね…)。物語前半の「巨大資本の金持ち攻勢」は正直自身の僻み根性もあってあまり楽しい内容ではなかった。もともと、この物語は「何もないところからスタート」という一種サクセスストーリーが発端。ゆえに気持ち悪いくらいに成功を重ねて今や日本有数の巨大資本グループ的存在になってしまうと、もう物語当初の「頑張れ」という気持ちは失せてしまって、単なる金のあるものの道楽のように見えてしまう。大抵の物語はそこに行くまでに「よかったね。これからもきっと大丈夫」的に幕を下ろして終幕としめでたしめでたし、になる。しかし本来この物語はひまりんの政治道が原点にあるわけで、そう考えるとようやくスタート地点だ。…そう理解しているし、キャラたちは何度もそのことを否定しているのだが、やはり物語の読者としてはこの状況は退いてしまったのは事実だ。なんせ「金持ち、資本家の苦悩」が何度も語られているけど、やっぱりそれは成功したからこその苦悩であって、一般庶民の自分の感覚ではそれすら「ぜいたく」にしか見えないからだ。
そんなわけで「こりゃ、この巻で読むのは終わりかな」と思っていたら、見事なタイミングで政治という観点でひきつけさせてきたのは正直感心した。戦略的に狙いながら文章を書いている風には読めなかったので、おそらくこれは作者の持つ天然のカンみたいなものなのだろう。そしてあれよあれよと奈落に突き落として次巻に続く、と。まったく、明日本屋で続きを探すしかないじゃないか。