青山景を読む

先日の自殺のニュースとその直前のツイートで少し話題になって初めて知った漫画家。ネットで作画を見て細かいタッチとかが好みだったのでまず買ってみたのがコレ。

よいこの黙示録(1) (イブニングKC)

よいこの黙示録(1) (イブニングKC)

先生がエロイなあ…くらいのつもりだったんだが、いきなり「小学生と宗教」なんて普通では考えつかない切り口の物語に驚く。その後の展開もポップな作画のくせにいちいち読者に突き刺さるような言葉を使っていて、「どんだけ自己思考しながら作ってるんだよ」と呆れたり驚いたり。これの続きが読めなくなったなんてちょっと勘弁して欲しい。まあ年末に2巻を出す様子ではあるけど。
俄然興味が沸いたのでいくつか漫画専門店を廻ると、いくつか追悼コーナー(ポップはなかったけどまとめたコーナーがあった)を見つけたのでひとまず少しずつ買って読んでみた。
ストロボライト

ストロボライト

出版社がカルト系で有名な太田出版…ということでおおむね想像していた内容ではあったけど、とにかく作者自身の思考が透けて見えて非常に興味深かった。ツイートを見ても最後は躁鬱が激しかったと思われるフシがあったけど、これだけ人間関係という事象に対して強迫観念を持って絵に落としている人もそうはいないと思う。
チャイナガール (ビッグコミックス)

チャイナガール (ビッグコミックス)

これは人間関係について少し吹っ切れた方向の作品なのかな。ただ原作者付だから端的にそうと判断は出来ないけど。でもこういう物語がメインで描ける人だったならば、あそこまで自分を追いつめることはなかったんじゃないのかなとも思う。
SWWEEET 1 (IKKI COMIX)

SWWEEET 1 (IKKI COMIX)

スウィート 2集 (BIC COMICS IKKI)

スウィート 2集 (BIC COMICS IKKI)

そしてこれ。自身の人間不信とそれに対する(自虐)暴力性がとにかく前に出ている怪作。いったいどんな気持ちでこの作品を描いていたんだろうか。果たしてラストのあれで、キャラと作者は救われたのだろうか。
…うーん。とにかくこの青山景という作家は沈思黙考タイプ、しかも内省で自虐型というある意味においては典型的な作家だったのだろうと思う。自分の中の痛みをそのまま出力できてしまう図太さと同時に、その痛みが自身の中でまったく緩和されずに大きくなり最後おかしくなる一線があったのかもしれない。死後に知った作家だから、今更自分が言うのも妙な話だけど、「生きて書き続けて欲しかった」と強く思う。改めて合掌。