海の底(有川浩/メディアワークス)

やっぱ根本的にこの作家の文章…というか文の空気が凄い好きだ。こちらが気になる部分、読みたい部分を的確に打ち抜いてくれる。自分が好きな文章に恐ろしいほど一致する。
また過去作品同様に、自衛隊独特の立ち位置に対する表現や、プロというものに対する視点がいい。そして、時折見せる凄惨なまでの現実を正面から書き切るところも大好きだ。
今回のラストは「映画でもよくあるけど、こうなって欲しいなあ〜」と思っていたとおりの展開になった。が、典型的とはいえ、この作品なら許せる。
それにしても、これで陸海空すべて書き切ったことになる。今後はどんな作品を書くんだろうか。とても楽しみだ。
もし、この作品が実写なりアニメ化なりになるなら、ぜひともR15以上で。凄惨な現場との対比があってこその作品だろうし、その部分を中途半端にごまかすようでは、作者に失礼だとまで思ってしまう。