涼宮ハルヒの陰謀

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

実際に時間旅行が出来るか否かというのは古典の時代からの議論。ガキの頃は無邪気にタイムマシンの実現を夢見ていたけど、そこに最初に立ち塞がるのが「親殺しのパラドクス」を前提としたタイムマシン不可能論。その後年齢を重ねるに従ってその他の論も知ったり考えたりするようになるわけで。「タイムマシンと思っても、実は自分の世界にそっくりな異世界/平行世界に行っているだけ(だからそこで何をやっても自身の世界には影響がない)」とか「量子論的には平行世界の存在を前提にしても良い」とか「過去は固定化されているのではなく、現在を軸にして未来も過去もどんどん不確定になってくる」とか「全宇宙のありとあらゆる物にとって次の瞬間どうなるかは予測できるが決定ではなく、従って原子1つが1ナノミクロン進行方向がずれただけで世界は二つに分かれる。つまり、その瞬間瞬間において、世界は無限数の平行世界を産んでいる。タイムマシンで飛ぶのはその無限数の平行世界のどれかでしかない」とかまあ色々。で、ハルヒ世界ではどうかというと馬鹿正直なくらいの「過去〜現在〜未来は1本の線」という考え方。ただし「過去は大筋において固定化されているが、些末な部分は許容される」「"未来から見た"過去の不安定要素の固定化のためならば、その時点の未来人にとっての"都合の良い"時間を構築するまで何度も上書きされ、その時点で最後に残った物が採用される」というもの。・・・つーか、これも延々と鬼ごっこになりそうな気もするけど。「未来人にとっては規定事項でも、その時代の人にとっては偶然でなくてはいけない」というのは、タイムパラドクスを脳内で妄想した人ならば誰しもが気がつくポイント。でも、何らかの理由で「補正」しようとしたら、それこそ「一度動かした時計は二度と止まらない」方式で延々と影響が出続けるドミノ倒しになり二度と元には戻らない・・・ということになると思うんだけどねえ。むう。