薬師寺涼子の怪奇事件簿

薬師寺涼子の怪奇事件簿

薬師寺涼子の怪奇事件簿 第2巻 [DVD]

薬師寺涼子の怪奇事件簿 第2巻 [DVD]

今期終了第8弾。ちょっと発酵しすぎた昭和のかほり。
当初はあまり興味もなくチラ見程度で見ていたけど、まあ無難な内容だったのかな、と。それよりも、脚本を考えるにつれ「ああ、昭和の香りってこんなんだよなあ」という感想が常について回っていた(良い悪いは別)。
こういう書き方は田中芳樹のファンに怒られるかもしれないけど、昭和の頃の(今で言う)ライトノベルって「(不人気の絶頂にあった)SF書きや、文壇に登り切れなかった作家崩れが、やむを得ずエンターテインメント方向に方針転換した」という雰囲気がとても強い。だから、できるだけリアリティや背景設定をじっくりと考えて、そこにちょっとだけ遊びを混ぜるという手段を取ることが多い。ただ、こまったことにライトノベルの「遊び」というのは、昭和怪奇小説のようなスパイスではなく、現実世界を叩いて壊す・・・むしろ否定する位・・・の材料になっているから、結果的にその二つを混ぜると「筋や伏線としては成立しているんだけど、作品全体を俯瞰で見てしまうと、部分的に異常なくらいのリアリティのなさが目について苦笑する」という作品になってしまう。んで、今回の薬師寺涼子〜については、本当にそんな香りがしていた。逆に今のラノベ作家(特に若手)は、「ラノベのためのラノベ作家」であり、おそらく文壇だの芥川賞だのにはほとんど興味がないし、「ファンタジーにちょっとリアルを混ぜる」といっても、作品全体に影響がない程度のリアルしか使わないので、さほど不思議には映らない。その代わり、あまりにもファンタジー過ぎるので「マンガ小説」と揶揄されるのも仕方がない部分でもある。今回の作品は、ちょうどその真ん中当たりに位置する感じがした。まあ、アニメ版は完全オリジナルというから、これを原作者のものとみるか、アニメ脚本家のものとみるか、判断に困るけど(原作者がどこまで関わっているのか知らんし、そも原作とかマンガを読んだことないし)。
そして個人的に。最終回周辺で出てきた戦車が90式ではなく、最近公開されたばかりの次期主力戦車(予定)TK-Xだったというのは、いったい誰の趣味だ(笑)。スタッフロールに「ミリタリー作画監督」がいたくらいだから、その人の指定なのかねえ。まあ、楽しかったからこれは良し。