鋼鉄のアナバシス 死神と呼ばれた少女

鋼鉄のアナバシス 死神と呼ばれた少女 (AXIS LABEL)

鋼鉄のアナバシス 死神と呼ばれた少女 (AXIS LABEL)

AXIS LABEL第一弾としての本。実際、この手の本は「萌え戦記」系や、ラノベ系でいくつかリリースされている内容であり、そこにあえてイカロス出版が新たなレーベルを立ち上げて導入してきた意義がどこにあるのか。幸い、まだこの一冊しかリリースされていないからなんとも判断はしにくいけど、「世界でも唯一の萌えミリタリージャンル」という長所を全面に生かした作品を発表し続けないと、あっという間に先行出版社の影に埋もれてしまうと思う。
本作についても、実際の東部戦線に「オーバーテクノロジーの戦車と、特殊能力持ちの少年少女が乗り込み戦う」というシチュエーションであり、これだけでみればミリタリーの香り漂うラノベでよくあるパターンでもある。おまけに、読み進めれば「本当の東部戦線ではなく、さらにSF&オカルト要素の香りもプンプンしてくる」ということも見えてくるため、なおさら似たようなものに見えてくる。
「萌え」を持ってくるとは言え、戦争としての容赦ない現実をしっかりと書き込み、戦場や兵器や運用についてできるだけ嘘をつかず、嫌味にならない程度に実スペックを表に出してくるような「ああ、たしかにこれはMC☆あくしず系の文庫だね」と認知されるように、編集部門にはしっかりと方針を定めて頑張って欲しい。