化物語

化物語 - 西尾維新アニメプロジェクト

今期終了第9弾。徹底したDVD商法だが、こういう演出で誤魔化されると納得せざるを得ない。
相変わらずの新房&シャフト演出をうまく使っての仕事であり、個人的にはそれだけで結構満足しちゃっていたりするんだが*1、そこにエキセントリックかつ魅力的なキャラ群が出てくればもはや据え膳というわけで。おいしくいただかせてもらいました。…そして、本編内容についての感想もこのくらいだったりする。本来的な楽しみ方ではないのだろうけど、そういう「あからさまな撒き餌」部分だけで納得できてしまっているので。
あとは気に入った作品になると長口上になってしまういつものだらだら展開で。

  • 字幕カット

とにかく作中での「字幕カット(良く見たら各種説明付)」が異常なほど多いことに驚いた作品。最初はすべてDVD時に解放されるのかと思っていたけど、よおく字を読んでみたら「通常演出としての字幕」「地上波だと無理だから字幕」のように解釈できる説明が付記してあって、なんとゆーか、視聴者心理を先読みしやがってこのやろう(苦笑)みたいな。しかもその字幕カット演出もけっこう気に入っていて「これはこれでOKでは」なんて思ってしまっている自分にも気がついている…。しかもテレビ版では物語途中で見事にぶった切るという”超上から目線”な放映日程。ちくしょー、このやろーと思いつつも、たぶんDVDかBRを買ってしまうことになるんだろう。お金ないのに。オタの悲しい性だ。

主戦場であるニコ動を中心にブログやアニメ評論&ファンサイトを見て回ったが、本当に賛否両論が多い。じゃあ俺はどうかというと、「マーケティングの勝利」と思っている。彼等を起用した人が誰かは判らないが、今最もキャッチーな歌手は誰なのかというテーマに対して「ニコニコ動画」「初音ミク」「SuperCell」「歌ってみた」というタグを思いついた企画人こそが褒められるべき。もちろん、このアニメの視聴者層とニコ動住人が被ることも想定に置いていたのだろう。事実、それは成功裏に終わったと思う。
曲としてみた場合はどうか。とてもキャッチーで耳障りの良い歌であることは間違いない。これは、ある種基本に忠実なコード進行(言ってみれば”お約束のやり方”)に寄るところが大きいのだけれども、それ故にとっても分かりやすい。nagiの透明感あふれる声もあって第一印象もとてもよい。しかし、本来サビでもってくるべき盛り上がりを冒頭部に持ってきてしまっていること、大きな変化がなく進行する曲展開はかなりネック。実際、某所でフルコーラスを聞いてみたんだが、曲の最後まで聞き続けるのにかなりの忍耐を必要としたことはあえて言及しておく。悪い曲ではないのだが、フルコーラスを聞いているうちに「耳が飽きてしまう」のだ。せめてもう一山くらいは、どーんと大きな変化があるべきだった。まあ、かつて桃井はるこは『とても面白いけど結果的にはあっという間に使い捨てられる曲に魅力を感じる(エロゲ・ギャルゲソング等の曲に対して)』と言っていたけど、これはまさにその典型なのかもしれない。
そして曲の歌詞のせいで、最初の頃は「あれ…これ『宙のまにまに』の曲だっけ?」と勘違いしていたことをあえてここに告白しておく。というか、タイミングが合いすぎでしょ(笑)。

  • ホッチキスとステイプラー

本編のキーアイテムとして「ステイプラー」が出ている。初めてこの言葉に触れた人は「なんのこっちゃ?」と首をひねること請け合いであるが、ようするに「ホッチキス(ホチキス)」*2のことだ。案外知られていないが、「ホッチキス」というのはれっきとした登録商標であり、数年前に”文房具としての登録商標”が失効するまではおいそれとは使うことができなかった単語だったりする。今でもその名残はあり、ホチキス機能を持っているコピー機等のマニュアルでは、「ステイプラーは」という説明がされていることが多い。しかし、ホチキスを武器として扱う演出は初めて見たぜ。

*1:とはいえ、このコンビの仕事が増えてきているせいもあってか、新房は一歩引いた立場になり、その部下達が手を動かす方式が増えてきているらしいけど。

*2:ホッチキスと聞いて機関銃を思い浮かべる人はただの軍オタである。