探査機はやぶさ

「はやぶさ」試料容器のカプセル収納・蓋閉め運用が完了(JAXA宇宙ニュース)
今月1月の中旬にカプセルの蓋閉めが終了し、ついに本格的な地球帰還運用が開始されたとのこと。よしよし。
今回の発表のポイントは「過放電したバッテリーの復活」「カプセル収納に伴う一連動作の成功」の2点。基本的に、はやぶさは瀕死寸前・満身創痍の状態であり、そのなかで驚異的な悪運と運用スタッフの力量で一つずつ乗り切っている状態です。にも関わらず、なんとか問題をクリアし続けているのは何故か・・・・・・その答えの一つが今回の2つの結果に出ていると思います。それは「自国(自前)の開発技術を持つことの有利さ」です。リンク先の内容を読んでいただければ分かりますが、一時期は絶望的とも思われていた過放電バッテリーを復旧できたのは、それを開発した古河電池の協力があればこそでした*1。また、大事故&1年以上のブランクを経てなお稼働したカプセル収納行程(形状記憶部材の運用から、実際に『機材がはやぶさ内部を動く』という物理的動作を含む)は、はやぶさに費やされた日本の技術力が高いレベルにあったことを示しています。しかし、はやぶさの大事故の遠因(あるいは直接的要因)であるリアクションホイールは海外製であり、それゆえ地上でも再現実験ができずに現在の状態を招いてしまっているのが、非常に悔しい限りです*2。先日の松浦晋也のL/Dで、はやぶさを元に日本の宇宙開発と政治について問題提起をしていたけれど、本当に今のままでは「はやぶさ運用(それも滅多に経験できない多くの失敗と対策)」という至宝すら、ただの張りぼてになってしまいます。はやぶさが帰還する2010年、願わくば明るいニュースではやぶさの最期を看取ってやれればと思います*3
おまけ。皆さんもどうぞ。→http://www.jaxa.jp/pr/event/selene/index_j.html

*1:今回の記事の最後には、その他に協力してもらえた企業の名前が謝辞の形で記載されています

*2:予算的な問題、政治的な問題、国際国家間の圧力の問題等々も孕んでいるのは承知していますが

*3:現在の状況だと、当初の地球すり抜けコースから、地球落下コースになるらしいです・・・