萌えよ!陸自学校

萌えよ!陸自学校

萌えよ!陸自学校

「最後に判断するのは、本書を読んだあなた自身!」
「とっても「普通の人たち」でした---」
「だから君に聞きたいの---日本は何をしたいの?」「たった一言でいい。それさえ、言ってくれれば---」
(「萌えよ!陸自学校」より引用)

いったいいつ出るんだ、とやきもきさせてようやく発売。てか、遅すぎる。
本書で最大のポイントは上記引用箇所につきるのかもしれない(それは「萌えよ!戦車学校」でのノモンハン事変の記事と同じといえる)。つまり、自衛隊と政治と国民」について、(とても慎重にではあるけど)きっちり話をしている点。これは、「萌えよ!戦車学校」でも口が酸っぱくなるほど書いていることでもあり、「軍隊は勝手に人を殺して回る集団」ではなく「恐ろしいほど厳密に国家によって統制された(=文民統制)規律組織」であると同時に「国家の方針のゆらぎが、そのまま軍のゆらぎにつながる」という事実。そして「『軍隊をなくす=平和』という考えの危険性」を繰り返し書いている。だから、「日本国内での自衛隊の評価や声ってどんな感じで、それに対して中の人ってどう思ってるんだろうか」というのを知りたい人にとっても良い本かもしれない。ただ、あからさまに日教組とかプロ市民を非難しているから、そういうのがキライな人は回避した方がいいけど。
・・・でもね、彼らサイドの本や声は耳をふさいでも聞こえてくるくらい声が大きいのに、それへの反論がまったくできない(ないしは反論自体が異端視される)状況って恐ろしい事態と思うんだよな。自衛隊に好意を持っているなら、ちゃんとそこも受け止めるべきと個人的には思う。実際、本書の中でも「まーこの本自体、一昔前までありえなかったわけだし・・・つーか20年前くらいは本書みたいなの出したしゅんかんにたたかれるの確定。(以上、引用)」と書いてあるほど。
さてもちろん、内容としては(「萌えよ!戦車学校」がOKな人なら大丈夫・・・という条件付きだけど)陸上自衛隊について知りたい人の入門書としては最適な作りになっている(田村センセの文章って、本当にうまいと思う)。なんせ、自衛隊の装備・組織・運用といった「萌え戦」チック内容は当然押さえてあるし(ちゃあんと、後方支援部隊から音楽隊までイラスト付きで説明されている)、マニアックな装備もほぼ網羅。主要な制服も(イラストだけど)説明してあるし、各方面隊の担当範囲から戦時の想定守備範囲まで説明済み。これだけ書いてあって、これだけ読みやすいのはやっぱり凄いかと。ちと高いけど、興味があるなら持っていて損はないと思いますデスよ。
なお、購入者は必ず本のカバーを外して確認すること(笑)。