境界線上のホライゾンI〜III (本エントリ、未読の方はネタバレ注意)

境界線上のホライゾン
サンライズが秋アニメとして本腰入れているらしいこと、作者自身がTwitterで宣伝しているのを知り、友人に「原作読んだ方がええかな?」と聞くと「人物とか事象が多すぎてワケワカメ確定なので予習オススメ」と回答があった。
ということで約半月かけてゆるゆる読了。当初ラノベにあるまじき物理的分厚さに呆れたが、京極夏彦的分厚さだったのですぐ慣れた…まあ、陳列・在庫管理とも本屋泣かせなのは間違いない。アニメ化フェアの時は本屋仕入れ担当の経験or賭けの勝負だろうなあ。そしてそれらも要因かもしれんけど、意外に同人も少ないんだよなあ。色々ネタにはし易そうなのに…。いや、作者が微に入り細に入り書きすぎて遊ぶ余地がないのかも知れん。

  • I(上下)

最初から大量の登場人物出現、また普通なら物語進行に合わせて明かされる物語背景が受験勉強の反復学習の手法で(比喩的にも物語的にも)ガンガン開示されるのを目の当たりにして軽くパニックになる。まあじきに「読者にとっとと世界背景を共通認識化させて、作者が本来書きたい“キャラ達の奔放な動き”の邪魔にならないようにしたいんだな」と理解できた…理解は出来たが、事実上上巻丸ごと設定説明になるとは思わなかったわ(苦笑)!*1
とは言え、それに慣れればあとは普通のファンタジーSFラノベでガンガン読めた。本読みとしては「読んでも読んでもまだ終わらない」状況に喜びまくり。とにかく、作者の表現手法や方針が自分の好み…いやさ、書き方にピッタリだったのが嬉しかった。

  • II(上下)

II巻を読み続けていて一つの結論に至る。つまり、このシリーズは作者による「歴史そのものの二次創作同人」のようなものだ、と。自分も歴史は好きで学生時代も世界史や日本史を平行に眺めて色々想像したもんだし。まあ、その上で思うのは「なんで歴史再現をしようとしてるんかなあ」という純粋な疑問。確かに後付け理由として「もう一度歴史をやり直せば、いつかは…」とくるのは分からんでもないけど、そもそも宇宙帰りでありとあらゆる条件が異なる地球上でそんな面倒くさいことをしようとした大本の理由としてはあまりに弱すぎる。個人的には、やっぱ「歴史再現」自体が公主隠しとともに「隠された原初の組織」による何らかの陰謀臭い気がするんだよなあ。
ともあれ、この巻は点蔵が全てかと。個人的にこういう裏方で支える真面目な奴には幸せになって欲しいタチなので、本当に楽しかった。

  • III(上中下)

ラノベってこともあってやっぱあからさまに死者は出したくないのかなあ…と思ったら、最後の最後でガンガン出てくるし。まあ「地脈路暴走戦略兵器に巻き込まれる=死亡確定」というのは未だ作中では明示されていないので、一時退場した皆さんは別の平行世界(または全ての大本たる”何か”の場所)に移動させられてるんじゃないだろうかとも思うけど。個人的には、義経の本領をまだ見ていないので、是非復活してほしいなあ。

*1:友人に聞いたら「作者は超設定マニアですよ」との解答が。すげー納得。