払暁の特務戦隊ワイルドバーズ

一連の萌え戦記の一つ・・・ということなんだろうけど、傾向としてはスカーレット・ストーム系。あれを孤島防衛戦に部隊を変えたらこんな感じかな。で、そこは実験兵器も色々あって、多勢に無勢の中で・・・という話。話としては悪くないんだけど、本書の分量から見て登場人物が多すぎるし、キャラの掘り下げもほとんどないし、さらに女の子はみんなコードネームで書かれているので、非常に印象に残らない。結局、最後まで読み終えてもほとんど人物判断が出来なかった。なんせ、名前が出るたびに登場人物紹介ページに戻って確認していたくらいだし。所々に、吉岡平自身の蘊蓄を語っている部分があって微笑ましかったんだけど、物語としては本人が書きたくて書いたのではなく、タイトルありきの発注依頼があって、とりあえずそれに合わせて納品した・・・という印象が強い。
で、最大の問題は本書のタイトルと扉絵。タイトルは本書に出てくる少女達をもじっての「野生鳥」、で萌え戦記だから女の子と零戦等ということなんだろうけど、はっきり言って本書の内容とはまるで合わない。表紙買いした人は、たぶん想像した物とずいぶん違っていたんじゃないかな。少なくとも、この小説は「少女達がバリバリと銃や兵器を操って大勝利を得る物語」ではないです、ええ。前述の通りスカーレット・ストーム系ですから、悲壮系に属しますので、その点は把握して貰えれば。あとは・・・生粋の吉岡ファンにとっては、この内容はどうなんだろうな。あまり吉岡作品は読んでいないのでよく分からないけど(適度に情緒系の文章を書くらしいとは聞いてるけどなあ)。